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こんにちは、Haijiです。
毎年恒例となってきてます「イタリアボローニャ国際絵本原画」、今年も西宮市大谷記念美術館に見に行って参りました。
今年で4年連続で見に行ってるのかな?たぶん。
「イタリアボローニャ国際絵本原画」の展示の概要は2019年の記事に載ってます。
今年の展示のわたしの印象
わたしの超個人的な感覚ですが、印象に残った点を記録しておこうと思います。
アナログ×デジタルで仕上げてる人が圧倒的に多い
この展示を見始めた4年前の私は、
「絵本はアナログで描くのが良いに決まってる」という偏見の持ち主だったのと、
「展示で見るならアナログ作品が好き」という自分の好みも合わさって、
アナログイラスト作品=絵本においては価値が高い
と考えていました。(自分はデジタルで描く方が多いくせに)
ボローニャ国際絵本原画展の審査員の人の中にもアナログ作品を評価している雰囲気が会場で流されているビデオの中からも伝わってきました。
しかし年々デジタルイラストの受賞作品も増えていき、審査員の評価もデジタルもアナログも変わらないようになっていき(審査員へのインタビューが会場内のビデオで流れるんです)、
今年はアナログで描きデジタルで仕上げるタイプのイラストレーションが圧倒的に多かったように思います。
4年連続で行ってみたことで、絵本界におけるイラストレーションの「時代の流れ」をはっきりを感じました。
ビデオによると、コロナの影響で2021年から本コンテストはオンラインにて応募・オンラインにて審査となったそうで、
応募の段階でデジタルツールをある程度使える人に限られるというのも、
デジタルイラストの応募作品が急増して見える一因かもしれないですね。
ちなみにですがこの4年間の間で、私の「絵本にはアナログイラストのほうが素晴らしい」という偏見はだいぶ少なくなりました。
絵本雑誌かなにかで見た、「絵本のイラストはデジタルが良いかアナログが良いか」みたいなやりとりの記事で、
「絵本として印刷したあと、子どもたちにとって良い絵になっていたらどちらでもいい」
という内容の記述に心底納得し、今ではそれが私の判断基準になったためです。
結局デジタルかアナログかなんてのは手段の話で、子どもたちに良い絵本を届けるということが満たされればどちらでも良いものなんですよね。
カラフルな作品が多い
今年は見渡す限り、大谷記念美術館の館内がカラフルな作品に彩られている印象でした。
絵本のためのイラストコンテストということで、例年もカラフルな作品が多いですが、もう少しモノクロの作品が多かった印象を持っていました。
去年だったか一昨年だったか、入賞作品の中には「ほとんどモノクロで描かれて一部赤で差し色をしてある」ようなイラストレーションが何点かあったので「流行ってるのかな?」と考えていたのを覚えています。
カラフルでたくさん描き込みがされている作品が多く、見ているだけで、楽しく弾むような幸せな気持ちになりました。
印象に残った素敵な作品と作家の方々
キム・ギョンシンさん(韓国)-「私はあなたは」 I am You Are
今回の受賞作品は韓国の作家さんがとても多かったような気がします。
どの作品も本当に素敵でした。
私がひと目で心を奪われたのはキム・ギョンシンさんの作品「私はあなたは( I am You Are)」でした。
自転車に乗ったカラフルなユニフォームの人々がビュンビュン飛ばしていくのを、風をユニフォームと同じカラフルな色鉛筆で着色することで表現していて、見た瞬間心を奪われました。
(Webサイトのリンクを貼りたいけど見つからないのが残念です)
ソ・ソンジョンさん(韓国)-「ある日」One Day
次も韓国の作家さんの、ソ・ソンジョンさん。
子どもが横断歩道を渡る、ただそれだけのテーマなのに、横断歩道が急に盛り上がって魚になったりタコになったりする不思議な世界が繰り広げられます。
小さい子にとっては横断歩道を渡るだけでも大冒険ですよね。
この作品を見るだけで、私も自分の小さい頃のそういう冒険の気持ちを一瞬で思い出しました。
「自分の感じたことのある、あのときの気持ち」を思い出させる作品というのは、その時の思い出とリンクしてとっても心に残ります。
良い作品だと思いました。
マリア・パスクアル=デ・ラ・トレさん(スペイン)-「歴史をめぐる音」Noises Throughout History
マヤ文明から現代にいたるまで、その時代特有の「音」をなんとイラスト入りのグラフとして表現された作品。
こんな表現方法は今までの作品で見たことが無いのでびっくりして感動しました。
オリジナリティあふれるアイデアに心を鷲掴みにされました。
高橋祐次さん(日本)-「消えた島」The Misshing Island
見た瞬間、好き!、って感じました。
控えめな色使いで、カラフルではありますが押し付けがましさがまったくなく、色使い・構図ともにいつまでも見ていられる心地よさがあります。
素敵だ〜〜。
Webサイトやインスタでは見つけることができなかったのですが、そして図録にも載ってなかったのですが、今回の受賞作品のうち、
海を一艘の船がスイ〜と進んでいく、それだけのイラストレーションがありまして。
それはそれは素敵でした。
ボローニャ国際絵本原画の受賞作品というのは、モチーフがにぎやかに集合し構成されたイラストレーションが多いですが、
私が個人的に好きなのは静かで、抜け感のある、ゆっくり深呼吸のできるような空間を感じるイラストレーションだなと再確認しました。
日本の作家さんなので、いつか直接作品を見たり、お会いしたりできる日がくるかな?
ユ・チーチュンさん(台湾)-「黒ネコ、魚市場に行く」A Black Cat at the Fish Market
この方の受賞作品は鉛筆と色鉛筆だけを使った作品でした。
可愛らしい黒ネコの絵は、真っ黒で、鉛筆や色鉛筆を使ってこんなにキレイに黒色が塗れるのかと感動しました。
こういう作品の鉛筆や画材の跡とか、画用紙のボコボコした感じとかを間近でじっくり見られるのは展示の醍醐味ですね。
備忘録
私もイラストや絵本のお仕事をするので、この展示は「絵を楽しむ」以外に「選ばれる絵を勉強する」目的で毎年行っています。
作品を見る以外に、会場に流れているビデオを見たり、購入した図録を見たりすることで、
審査員の方の考え方を知ることもとっても勉強になるなと感じてます。
審査員の方が大事にしていること
会場で流れていたビデオの中で、審査員の方に何を判断基準にして作品を選んでいるか、インタビューしている部分がありました。
・その作品を好きか嫌いか
・映画を見てる感覚になるかどうか
・構図
・直感
・オリジナリティ、型にはまってないかどうか
・イラストレーターの役割は物語を絵で伝えること、それが出来ているかどうか
・その作家の国の文化を時代に合わせてどうアップデートさせているか(文化も感じたい)
・5枚が同じテーマで描かれていて一貫性があるか(このコンテストは5枚一組の作品で応募する)
こちらは私の作品づくりで参考にしていこうと思った判断基準になりました。
イラストレーターが自分のスタイルを確立することについて
また、図録にはイラストレーターが自分の画風・スタイルを確立することについて、興味深い記述が書いてありました。
人によっては一生かけて自分のスタイルを探し続ける人もいますし、運よく、または非常に不運なことに、最初に出版した絵本を描いている中で見つけてしまう人もいます。スタイルは、(中略)見つかった途端にアーティストを檻の中に閉じ込めてしまうものであると、私はかなり前に確信しました。(中略)自分のスタイルを変えていく能力も必要だと思います(審査員・バレー)
2022イタリア・ボローニャ国際絵本原画展 / ILLUSTRATORS ANNUAL 2022
私も例外ではないですが、イラストの画風・スタイルをどう見せようかについては、イラストレーターは誰もが悩む問題だと思います。
自分のスタイルを早くに見つけることができてしまうのは運が良いことでもあり不幸なことでもあるというこの記述には、私はすごく勇気をもらいました。
イラストや絵本の仕事をする上でレベルアップ、スキルアップする方法は、目の前の仕事を一生懸命やる他無いなぁと常々思うのですが、
目の前の仕事を一生懸命やっていると、時には自分のイラストのスタイルの一貫性を保てないこともあります。
目の前の仕事を一生懸命やるからこそ、そういうことは起きます。
でも、そうだとしても、同じ人間が描いているからどうしてもぬぐえない、一貫性の最後の一滴が残ります。
いろいろなスタイルで描いても残るその人独特の一貫性が評価される時代なのかな、その最後の一滴があれば良いのかな、と
ぼんやり考えました。
絵本のイラストは子どもたちに伝えたいことがまずあって、それを伝えるための手段なので、
大事なことは自身のスタイルよりも「子どもたちに伝えたいことがなにか」ということ。
自分のスタイルばかりに目が向いていると、大事な目的を忘れてしまいがちになるので、「子どもたちに伝えたいことは何なのか」を私自身も考え続けたいなと思いました。
来年の私への注意事項
最後に。何度も行ってる割に今年も失敗したのが下記の2点です。
来年も見に行きたいので、来年の私向けに記録しておきます、、笑。
展示を見に行くなら日曜祝日はやめておけ
これです、ホント。
土日しか行けない人はともかく、平日にも美術館に行ける立場ならば平日の人が少ないときに行ったほうが絶対に良いなと思いました。
特に私は絵を見ている途中に後ろから人が近づいてくると、気になってしまって、いま見ている絵の内容が入ってこず、
もう少し見たいけど先に進んでしまうところがあります。
展示はせっかく絵をじっくり間近で見ることができるチャンスなのに、人が多いとじっくりゆっくり見て回ることができません。
来年は平日の人が少ない日時に行こうと思います。
気に入ったイラストは現地で目に穴が空くほど見ておけ
美術館のお客さんが多いからと言って、見たい絵をそこまで見ずに帰ってきて今回は後悔をしました。
図録に受賞作品全部載っているだろうとふんで図録を買ったのですが、全部のイラストは入っておらず、見たかったイラストは結局じっくりと見られなかったです。
気に入ったイラストは現地でちゃんと見とけよ、と来年の自分に残しておきます。
最後に
少し展示の見方に後悔はありましたが、それでもどの作品もめちゃくちゃ素敵で素晴らしくて、やっぱりこの展示会のことがすごく好きだなと再確認できた一日になりました。
最終日前日に滑り込みで行けて良かったです。
たくさん刺激をもらったので自分の創作活動に活かしていきたいなと思います。
この展覧会は、毎年の楽しみです♪
私は、平日にしか行ったことがないので・・・
今回ほんとに、カラフルでしたね❣️
私が感動したのは、刺繍の原画です♪
イランの方だったかな・・・
かわいいかったのは、ミミズのお話❣️ミミズの大きさを、比べて見てました
それから、やっぱり自分の飼ってる犬が1番だといって終わってた作品などなど、
楽しい時間を過ごした展覧会でした😃
by時の旅人😸