Haijiの絵日記

【ブログ】「自分が何者か」を決めるのは誰か

目次

こんにちは、絵本作家のHaijiです。

前回のブログ「【ブログ】芦屋あげパン・パイクとそらopen二周年記念企画終了しました!」にて

SNSなどを覗いていると、日々ほかのイラストレーターさんや作家さんと自分を比べてしまいがち、他のイラストレーターさんの仕事を羨ましいと感じがち、なのですが、
自分の絵本やグッズで誰かが喜んでくれるのを目の前で見られるのは、それが結局一番最高なことなのでは、と感じることができました。

というふうに書いていたのですが、

これについて最近自分で色々考えたり個展を通して新しい発見があったりしたので、備忘録的に書いておこうかなと思います。

私は人の言動が気になる性格で、SNSを見ていても人の成績と自分のそれを比べてしまって、惨めに感じること・落ち込むことが常にあります。

ここ5年ほどでSNSでイラストレーター自らが発信することが急激に増して、私は他のイラストレーターさんの発信に夢中になるあまり、SNSに非常に疲れてしまった、ということを過去の記事「【ブログ】自分の道は自分で決める 〜SNS疲れしたイラストレーターが自分を見つめ直した話〜」でも記載しました。

今回もそれに通ずる話かもしれません。

音声SNS「Clubhouse」の爆発的流行

コロナ禍での在宅生活の影響も手伝ってか、Clubhouseという音声SNSが、2021年1月下旬から日本でも爆発的に流行りはじめています。

Clubhouseというのはアプリをタップするといくつかのroomがあり、roomに入ると主催者のmoderatorや、話し手であるspeakerの話をaudienceとして聴くことができるSNSです。コメント、メッセージもテキストでは打てず、音声のみで関わり合います。

完全招待制の入会方法、先に始めた一部ユーザーの楽しそうな雰囲気、roomでのおしゃべりは他言無用という約束、

それらが一気に未利用者を渇望させ、人気に火を付けたのだと感じています。

「Clubhouseやってみたいので招待してください」という書き込みが、2021年1月下旬〜2月初旬、各SNSで数多く見られました。

Clubhouseのこの急激な流行に対して、イラストレーターうのきさんのイラストが秀逸だったのでこっそり紹介。

(うのきさんは他のイラストも(これのように風刺的なものも)お上手で、センスの塊でいらっしゃいます、すごく好き)

ちなみに2021年2月現在、Clubhouseはアンドロイドスマホには対応しておらず、iOSを搭載したiPhoneやiPadでしかClubhouseに参加することができません。

誰もが「何者か」であることを求められているような空気

Clubhouseでも毎日色々なroomでいろいろな方がおしゃべりをして発信されています。

今や誰でも発信できて誰でも主役になれる時代。

わたしはそのこと自体は素晴らしいことだと思っており、この時代に生まれたのは幸せなことだと感じています。

例えばひと昔前は絵本なんてひとにぎりの作家さんしか出版できないものでしたが、今は誰でも比較的かんたんに出版に手が届くようになり、そのおかげで私もお客様とオリジナル絵本を一緒に作るサービスをしたいとわくわくしながら考えられるようになりました。

ただ、誰もが発信できて誰もが主役になれる時代だからこそ、

誰もが「何者か」であることを求められるような空気がそこにあるような気がします。

そんな空気、実際には無かったとしても、勝手に「何者か」でいなくちゃならないと自らプレッシャーをかけてしまっている自分は確実にいました。

「何者か」でいなくちゃならないと焦り、「何者か」になりたくて、自分にも発信できることを探してはイベントを開催してみたり、他の人の役に立ちそうなことをブログ記事に書いてみたりしました。

でも次第に、そうして付け焼刃的につけた仮面はすぐに剥がれてしまうということを感じるようになりました。

「やりたいこと」にとらわれすぎない

小学校や幼稚園のときから、「将来の夢」を考えさせられ、作文を書かされ、

昨今はSNSで「やりたいことがあるならどんどん発信しよう」という風潮があります。(イラスト界隈ではありました、他業種はわからない/私自身もそれに関してはそう思う)

【「やりたいこと」「夢」を持ってて当たり前】という空気があると感じます。

私もイラストや絵本を仕事にしていきたいと思う中で、じゃあイラストの中でもどんな分野で勝負していこうかなと考えたときに、

「やりたいこと/憧れのこと/好きなこと」「自分にできること/得意なこと」「需要」自分の中のこの3つが掛け合わさる部分を仕事にすると良いよ、という考え方を参考にしました。

今も何かと指標にする考え方です。

モチベーションも大事だし、お金も稼げないと続けられないし、合理的な考え方だと思います。

でこの3つに照らし合わせて考えるわけです。わたしの得意なことってなんだろう、やりたいことってなんだろう、どんな需要が転がってるんだろう。

でも「やりたいこと」ってなかなか思い描けないんですよね。

何件かお仕事をしたあとだったら少し描けるようになるかもしれないですが、最初からなかなか「やりたいこと」って思いつかないものだと思います。

でも私は今は「やりたいこと/憧れのこと」にそこまでこだわらなくても良かったかなと思ってます。

それよりも、「今まで実際にやってきた中で自分がとっても楽しかったこと」とか「仕事で役に立てて嬉しかったこと」とか、そういう過去の体験の引き出しから、「今後もやっていきたいと思えるもの」を基準に選んでみる・そこから考えてみるというのが最近私はしっくりきています。

「やりたいこと」を無理に探す必要なんてなかった、

そういうときは楽しいこと・嬉しいことを探してみる時期だと思って色々つまみ食いしてみたら良いんだな、と振り返って今は思いますね。

「自分が何者か」を決めるのは誰か

「自分が何者か」を決めるのは、それは「自分の大切な家族・友人・仲間」そして「仕事相手のお客さん」なんじゃないかと最近私は思います。

過去の記事「【ブログ】自分の道は自分で決める 〜SNS疲れしたイラストレーターが自分を見つめ直した話〜」では

・いろんな声があっても自分の道を自分で決めること
・自分の判断基準を持つこと

が大事だと思うとしめくくっており、それに対して「自分が何者かはまわりの仲間やお客さんが決めるのだ」というのは一見矛盾しているようにも見えますが、

進む道は自分で決める、目の前の仕事に一生懸命取り組む、それを見たお客さんが自分のことを判断される、というのが現時点での私の言いたいことです。

最近お仕事で作った絵本をお客さんが涙ぐみながら喜んでくださる姿を見たり、個展で初めて会う人が私のイラストを気に入ってくれるのを目の当たりにしたり、そういうことを経験して、

SNS上で立派な何者かに見せる必要は果たしてあったのだろうかと、自分の過去の思い込みに疑問を持つようになりました。

自分のお客さんが自分の仕事で喜んでくれたらそれが最高ではないか、自分のグッズをかわいいと気に入ってくれたらそれで十分なのではないか、

もしすごく大きなお仕事をしてすごく名が売れたとしても、結局「人の喜んでくれる顔が観たい」のはいつまで経ってもきっと変わらないだろうから、

それなら「何者か」の名前にこだわらず、お客さんの笑顔をもっと引き出すにはどうすれば良いかを考えるほうに時間を使うべきではないかと思うようになりました。

お客さんやまわりの仲間が喜んでくれるなら、別に絵本作家やイラストの「何者か」にこだわらず、できることは手伝ってあげたい。

もちろん理想の仕事、理想のブランディングがある場合、発信は今や不可欠なものだと思います。

でもそうでない場合は、SNSでの発信や、立派な何者かに見せる必要はなく、

自分の大切な人や大切なお客さんの喜ぶことをしっかり見つめる、まずは目の前の仕事に一生懸命に取り組む、

そういうことの積み重ねが「自分は何者か」を作っていくと感じます。

一個一個のしごと、ひとりひとりのお客さんと丁寧に向き合うことで、「自分は何者なのか」をお客さんが自然に説明してくれるようになる、という感じ。

そこは無理に自分で決めなくてもいいのかなと思います。

身近な仲間やお客さんの判断に委ねれば良い、と思います。

もしいま過去の私と同じようにまわりのすごい人ばかりに目が行ってしまい、「自分は何者か」わからず漠然と焦ってて、どちらに進んでいいかわからないという人がいたら、

自分の好きなほう、なんとなくこっちかな?と思うほうに少しだけ進んで見る、というのをおすすめします。

私だったら「子どもが笑顔になること」が好きなので、そちらの方向に向いているお仕事や活動だと思ったら「やってみようかな」という感じ。

私はイラストや絵本がその手段ですが、私にとっては手段なので、「子どもが笑顔になる方向」であれば無理にイラストや絵本に絡まなくてもいいと思ってます。

そういうふうにこっちが好きだなという方向にてくてく歩いていく、

その最中に出会うもの、出会う人に丁寧に取り組んでいくことで、

長年かけて「自分は何者か」をまわりが定義してくれるようになる。

そんな風に今は思いますね。

まとめ

SNSで発信や、やりたいことや、何者かであることが求められるような気がしても、無理にやりたいことを定義づけする必要もなければ無理に自分を何者かにする必要もなくて、

自分の大切な人や大切なお客さんのことをしっかり見つめる、自分の興味あることを楽しむ、目の前の仕事に一生懸命取り組む、

そういうことが長い時間をかけて「自分が何者か」を作っていくんじゃないか、

というお話でした。

読んでくださりありがとうございました。

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