Haijiの絵日記

【ブログ】〜こだわりの酪農法で愛情深く牛を育てる〜 佐賀県・風の牧場を取材してきました!

目次

風の牧場 アイキャッチ

佐賀県・風の牧場の取材に行ってきました

イラストレーター・絵本作家のHaijiです。

先月2020年3月、佐賀県藤津郡の風の牧場というところにお邪魔してきました!

昨年までいたブラウンスイスという種類のお母さん牛”シェリー”についての絵本を描くことになったため、現地取材の目的で訪問しました。

風の牧場 看板 写真

風の牧場ってこんなところ

風の牧場は、長崎空港から車でおよそ一時間、佐賀県藤津郡の山の上の高原にあります。

標高400mのところにあり、平地よりも気温も3度くらい低いです。少しひんやりしていることが、牛を育てるのにも適しているとのことでした。

風の牧場 景色
↑眼下には有明海が広がる

山にはいろんな木々が入り混じり、鳥の声も四方八方から聞こえてきました。

風の牧場はもともと「風配高原(かざはやこうげん)」という名前だったらしく、その名の通り、有明海の方から吹いてくる風が心地よかったです。

とっても清々しい、気持ち良い場所でした。

風の牧場 牛舎
↑牛舎です、めちゃくちゃ広い!
風の牧場 牛舎の様子
↑近づくとこんな感じ。外に置かれた餌を食べています。

風の牧場は乳牛を育てて搾乳する牧場で、広い牛舎の中で200頭以上の牛を育てています。

一般的に牛はずっと繋がれて一生を過ごすそうですが、こちらの風の牧場の牛は柵の中で放飼されています。

風の牧場 牛の様子

牛の頭がすっぽりとおさまるように作られている柵から頭を出してえさを食べたり、ごろんと寝そべったり、リラックスして過ごしてるのが伝わってきます。

風の牧場 牛の様子

放飼されてリラックスしているため、乳量も多いそうです。

牛の出す乳量はストレスにかなり左右されるそうで、雷が鳴ったり工事の音がうるさかったりすると搾乳できる乳量が減るのだとか。

風の牧場 牛の様子

ごろ〜ん。

かなりリラックスしてる様子ですね(^-^)

牛ってこんな感じで座るんですね、まじまじと見たことないので興味深かったです。(他の牧場の牛はここまでリラックスしてないのかもしれませんが)

風の牧場 牛舎の様子
↑初めて間近で見る牛の姿をスケッチしまくる。
↑こんな感じで描いていました

牛を描くのって本当に難しい!

牛のごろんと寝そべってる写真や座ってる写真はネットで検索してもなかなかヒットしなくて、そういう意味でも現地に行かせてもらえてよかったなと感じましたね。

(そもそもネットで検索しただけだと立体感が掴めなかったりします)(ネットで検索じゃなくて本物を見ることが大事だな本当に・・)

風の牧場 ミルク工房

他にも、搾乳した牛乳でソフトクリームを作るためのミルク加工をする施設だったり、

風の牧場 アカデミー

パン作り体験、ピザ作り体験、搾乳&牧場の仕事体験、牛の心音を聞く体験、お母さん牛のブラッシング体験。。など

風の牧場には様々な体験ができる施設があります。

風の牧場は牛との触れ合いを通して、子どもたちに

食のありがたさいのちのたいせつさ自然と人間の関係などを伝えたいという思いでこのような体験学習をされています。

牧場専務の静子さんに色々お話を伺ってきました!

風の牧場 講義
↑涙ながらに牛の生と死のお話をしてくださる静子さん。

風の牧場のこだわり

風の牧場のこだわりは、なんといっても「牛の体によいものを、そして、何よりも人の体によいものを」というものです。

40年も前から牛の健康を第一に考え、安心安全な酪農を求める時代が今にくると信じて、電子畜産法(電子の力でえさを安心な状態に変える方法)を取り入れたり、牧場内にクラシック音楽を流したり、牛舎内に炭を敷き詰めたりされています。

牧場によっては人工授精のところもありますが、風の牧場は基本的には自然交配で、そのタイミングは牛に委ねているそうです。

あとは、牛に感謝の心を持って日々仕事をすることをとても大切にされていました。

牛は生まれて1年半で妊娠できるようになります。

そして人間と同じく十月十日の時間を経て、仔牛を出産します。

牛は一生に3〜5回出産し、そのぶんミルクを出します。

最後の出産を終え最後のミルクを出し終えると、乳牛としての役目を終えることになるので、食肉になるために売られていきます。

種がつかず仔牛を妊娠できない牛や、怪我をしてしまって立てなくなった牛なども、食肉になるために牧場を出ていかないといけません。

静子さんが繰り返しおっしゃっていたのは、

「牛は人間のために生まれてきて人間のために死んでいく」ということ。

10ヶ月間お腹にいた赤ちゃんを出産しても、牛の親子は20〜30分しか一緒にいることができないそうです。

風の牧場 仔牛
↑生まれて間もない仔牛。愛くるしく人懐こく、とっても可愛かったです

牛のいのちの犠牲のうえに、私たちの口にする牛乳や牛肉が作られているんですね。

それで牛たちに「ありがとう」の気持ちをこめて日々仕事をされている、ということでした。

印象に残ったところ

風の牧場 牛舎の中

牛舎は嫌な臭いがしない!

えさにこだわっているため、牛舎は牛特有の嫌な臭いが全くしませんでした。

クラシック音楽をかけて牛のリラックス度をアップさせたり、消臭効果の炭を敷き詰めたりしていることで、牛舎は明るく清潔感がありました。

この日は3時間くらいここにいたと思いますが、臭いとか息苦しいという苦痛は何もありませんでした。

事前のイメージでは、牛のいるところは独特の糞の臭いがあるだろうなと覚悟していたのでとても意外でしたね。

ミルクがめちゃくちゃ美味しい

牧場訪問の時にしぼりたてのミルクを飲ませていただきましたが、これがすごく美味しかったです!

ミルクの美味しさはぎゅっと凝縮されているのに、ネットリしていなくてさらっと喉を通っていく感じでした。(牛乳って普通ネットリ感がのどに残りますよね、それが無かった)

牛の血液が乳腺を通って真っ白な牛乳になるそうです。

牧場の環境が、牛乳の味をこんなにも変えるものなのかというのを体験できて衝撃的でした。

風の牧場 牛

牛の人懐こさ

牛はその大きい体の割りにとっても臆病。

でもそのくせとても好奇心旺盛でした。

風の牧場 牛が覗き込む
↑「なにしてるの?」と覗き込んでくる牛さんたち。

人がいると「なになに?」という風に覗き込んでくるし、手を差し出すとペロペロと舐めてくる牛もいます。

まさか牛とこういう風に触れ合えると思ってなかったのでびっくりしました。

風の牧場 牛
↑撮影係のじょーじさん。動物に懐かれることが多いですが牛にもめちゃくちゃ懐かれていました
風の牧場 小やぎのサラちゃん
↑風の牧場で飼っているサラちゃん。この冬生まれたばかりです。

こちらは子やぎのサラちゃん。

この子もスケッチをしている私を「ねぇねぇ」「なにしてるの?」という感じで背伸びして覗き込んできて、とっても人懐っこかったです。

やぎは親子3代飼われていましたが、牧場内の雑草を食べるなどのお仕事をしているそうですよ。

風の牧場 サラちゃんと
↑サラちゃんをだっこさせていただく。頭を私の体にゆだねてくるのが可愛いかったです。

食肉として売られていくときにトラックに乗るのを嫌がる姿

牧場には二日間居させていただいたのですが、最終日の出発直前に、牛が食肉になるために牧場を離れる場面に直面しました。

4回目の出産を終えた牛はそれ以上牛乳を出すことができないため、売られていくのですが、

係の人が牛をトラックに乗せるために柵から出そうとすると、その牛はとても嫌がって抵抗していました。

自分がトラックに乗せられた後どうなるのか、知っているようでした。

柵から出されるときも抵抗して、トラックに乗せられるのにも抵抗して、乗せられてしまったあとは悲しげに俯いているように見えました。

風の牧場 牛が売られていく
↑トラックに乗せられるのに抵抗し続けた牛

牧場スタッフの人は普段は牛に名前をつけたりせず、感情移入をしないように心の距離をとって接しているそうです。

毎日可愛がっていたりしたら、嫌がる牛をトラックに乗せる作業などは胸が張り裂けるほどだろうなと想像しました。

私たちがスーパーで気軽に牛肉を買えるのは、牛の犠牲はもちろんですが

そのように牛を育ててくれて、送り出してくれる牧場の方のお仕事や、生きている牛を食肉に加工してくださる方のお仕事があって成り立っているんだと強く感じましたね。

風の牧場 ありがとうの看板

人が牛を大事にしている優しい牧場

牛の生と死を扱うお仕事なので目を逸らしたい部分はどうしてもありましたが、

それでも専務の静子さんだけでなく牧場のスタッフのみなさんが牛を本当に大事にされているんだなというのが、

事前のやりとりから当日実際に見学に行かせてもらい、事後やりとりをしている今までも一貫して感じている一番強い印象です。

静子さんが毎日「ありがとう」「おつかれさま」と牛に対して声をかけてまわり、

それに応えるように牛は甘くて美味しいミルクを出す。

牛が我々人間に対して恐怖を抱かず、好奇心をもってペロペロと舐めてきたりするのは、普段から人に大切に扱ってもらっている証拠だろうなと感じましたね。

人と牛がお互いを信頼し、強い絆で結ばれた素晴らしい牧場だと思いました。

まとめ

今回実際に牧場を見学させていただき、実際の牛を間近で見れたり、牛が売られていくところまでの流れを聞かせていただいたりと、とても貴重な時間を過ごすことができました。

今回お世話になった風の牧場の静子さん、ちひろさん、社長のまさみつさん、牧場スタッフのみなさま、大変ありがとうございました!

この経験を子どもたちに届けられるように、絵本の文章と絵を考えていきたいと思います。

良い絵本にするぞ・・!

風の牧場 静子さんちひろさんと
↑専務の静子さん、長女で牧場スタッフのちひろさんと。

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