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こんにちは。
ほっこり優しい癒し系のイラストレーター/絵本作家のHaijiです。
今日は絵本作家のレオ・レオーニさんの展示を観に行ってとても良かったのでレポートを書いてみたいと思います。
展示のご紹介
【東京会場】
日時:2019年7月13日(土)〜2019年9月29日(日) 10:00-18:00(入館は17:30まで)
場所:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
休館日:月曜日(ただし7/15、8/12、9/16、9/23はopen)
冬には鹿児島、来春には沖縄で展示があるようです。くわしくはウェブサイトへ。(ウェブサイトがまたかわいいのでぜひ。)
ここが良かった
レオ・レオーニは1910年オランダ生まれの絵本作家として有名ですが、今回の展示は絵本作家としてのレオの作品・・だけでなく、若い頃の油絵や、アートディレクター時代のグラフィックデザインなども一緒に展示してあり、レオ・レオーニの生涯のクリエイティブ作品を観られる見応えたっぷりのものでした。
展示会場には実際の絵本がところどころに置いてあり、そこで子どもにレオ・レオーニの絵本を読み聞かせているお母さんがいたり、大人も子どもも楽しめる素敵な空間でした。(平日に行ったのでゆったり観れたというのもありそうです)
展示作品の大半は絵本の原画です。
一番有名なスイミー(最近は教科書にも載っているんだとか)の原画をはじめ、色々な手法で描かれた原画がたくさんありました。
スイミーは版画のようなスタンプのような手法で描かれている絵本ですが、この他にはドローイング、マーブリング、スポンジング、紙を手でちぎったりはさみで切ったりしてコラージュする方法などのいろいろな手法が観られました。
私としてはこの色々な手法を間近でいっぺんに観ることができたのがとっても良かったです。
ねずみは体のふわふわ具合を出すために手でちぎって作ってるのに対して、草はまっすぐ生えているからハサミでまっすぐ切っていたり。
ぜんまいのおもちゃのネズミはこれもハサミでまっすぐ切って機械っぽさを出していたり。
絵本でなにげなく観たことはきっとありましたが、あらためてまじまじと作品を観ると新しい発見がたくさんあって楽しかったです。
あと、スイミーの原画は実は絵本に使われていたものとは別のものが展示されています。
この「絵本の絵とは別のもの」が、スロバキア国立美術館に原画として保管されているそう。
本当の原画はどこにあるのか誰も知らない、幻のものだそうです。
本物はいつどこに行ってしまったのでしょうか。ちょっとわくわくしますね。
展示の中でぐっときた絵本ベスト5
私はスイミーの絵本は持っているのですが、レオ・レオーニの絵本は実はあまり読んだことがありませんでした。
今回展示を観ていろいろな絵本を描かれているのを知り、それぞれの絵本にそれぞれの良さがあるなぁと思いました。
ですのでここで個人的にぐっときたHaijiの独断と偏見による絵本ランキングを紹介します。スイミーは以前から知っていたのでここでは省いています。
第5位 ひとあしひとあし〜なんでも はかれる しゃくとりむしの はなし〜
第5位はしゃくとりむしが自分の体を使ってものの長さをはかるお話です。
この展示では現代の日本の作家さんが「レオ・レオーニの絵本どれが好き?」をテーマにコメントを出してるんですね。
その中でレオ・レオーニの作品の多くの翻訳を担当した谷川俊太郎さんが「ひとあしひとあし」をピックアップされていて、
「レオニの他の絵本は教訓のようなものを含んでいるがこのお話にはそれがない」
というようなことを書かれていて。なるほどそうだなとうなづきながら読みました。
「この続きはどうなるのかな」と読んでいくとひゅっといつの間にか終わってしまい、結論めいたものもなく、それがおかしくて印象的な一冊でした。
第4位 はまべにはいしがいっぱい
こちらはモノクロのドローイングの絵本です。
レオ・レオーニの作品は色彩が豊かで、それが私がレオ・レオーニを好きな理由の一つでもあるのですが、この作品だけは鉛筆の黒一色でした。
デッサンしたようなリアルな石ころがたくさん出てきてびっくりしました、笑。
レオ・レオーニは絵本の世界に現代アートの表現技法を持ち込み、絵本の歴史を塗り替えた人でもあるそうです。
これはレオ・レオーニの作品を知っていたりイメージをある程度持っていたりする人に読んでもらいたい一冊でした。
はまべにはいしがいっぱいの展示コーナーには、顔のついた石が展示されていて、その顔がある仕掛けで表情を持って動いたりします。
この仕掛けはさりげないのですが目が離せなくてずっと立ち止まって見てしまいました。
今から展示に行かれる方はぜひ楽しみにしてみてください*
第3位 フレデリック
この絵本のタイトル、フレデリックとはねずみの名前です。
レオ・レオーニの絵本作品にはねずみが主人公の作品が多くあります。
冬に向けて木ノ実や葉っぱを集める仲間たちを尻目に、光や色や言葉を集めるフレデリック。
やがて冬になり、最初はみんなで集めた食料でしのいでいたものの、食料も底をつきます。
そのときフレデリックは・・・、というお話。
こちらの本は絵の表現方法が豊かで感動したのと、そのお話の発想に驚かされたのとでとても好きになった一冊です。
第2位 あおくんときいろちゃん
こちらは主人公があおくんときいろちゃんという、手足もなければ顔もない、ただの色のかたまりです。
これはレオ・レオーニが自分の孫のために描いたとされる物語です。
あおくんにもパパとママがいて、きいろちゃんにもパパとママがいます。
あおくんときいろちゃんは互いに好きすぎて、まじわって、緑色になってしまいます。
あおくんの家に帰っても、きいろちゃんの家に帰っても、緑色になってしまったものだからパパとママに追い返されてしまいます。
二人は悲しくて泣いてしまいますが、、、というお話。
ただの色なのに途中から感情移入してしまうとレビューに書いてありましたが、本当に途中から感情移入してしまうから不思議です。
主人公がただの色のかたまりなのに感情がとても伝わってきて衝撃を受けたり、これが子どもたちに大人気ということにも衝撃を受けたりでも納得していたり、とっても関心させられた一冊でした。
ちなみに今回の展示のタイトルデザインにもあおくんときいろちゃんのモチーフが入っています。素敵なアクセントになっています*
第1位 アレクサンダとぜんまいねずみ
私の中の第一位は「アレクサンダとぜんまいねずみ」でした!
こちらもねずみのお話。
主人公のアレクサンダはねずみで、人間からは嫌われ者。パンくずひとつ探していただけなのに追い回されてしまいます。
そんなアレクサンダはある日、ぜんまいで動くおもちゃのねずみ「ウィリー」に出会います。
ウィリーはアレクサンダと違い、人間の子どもにとても可愛がってもらえます。
アレクサンダはそのことを羨ましいと思いました。
二人は仲良くなり、いろんな話をします。
ある日、アレクサンダはウィリーに聞いて、生き物を他の生き物に変えられるという魔法のとかげに出会います。
アレクサンダがとかげに願ったこととは・・・というお話。
生きているねずみとぜんまい仕掛けのおもちゃのねずみとで表現が違って印象に残ったというのはこのお話のことでした。
とかげをはじめ他の表現もきれいだし、人と比べてしまうことを案にテーマにしているストーリーには最初から共感し、ラストにはすごく心を動かされました。
まとめ
勝手にベスト5でランキングをつけてみましたが・・でもどの本も本当に良かったです!
展示会ですべての絵本をじっくり読めたわけではないので、また少しずつ読んでみたいなと思いました。
以上、「みんなのレオ・レオーニ展」のレポでした。